リスクを回避・除去できずに発生する事故・事件の結果生じる企業の損失には、「財産の損失」「収益の喪失」「賠償責任による損失」「人的損失」「イメージダウンによる損失」などが挙げられます。
そして、これらの損失は「企業内にのみとどまる事故・事件」の場合と「企業外にまで波及し、外部に対して何らかの影響を与える自己・事件」の場合に分ける事ができます。現在、もっとも興味を持たれているリスクは後者になりますので、これを次の3つの類型に分類し、その典型例を列挙してみます。なお、これらの事故・事件のほとんどは、主として人の行為に基づくものになります。
(1)企業犯罪型事件
・自社の機密の漏えい、他社の機密の不法手段による入手。
・脅迫、名誉棄損、信用棄損、業務妨害。
・詐欺、背任、恐喝、横領、窃盗。
・公・私文書偽造・変造および行使、印章偽造および行使、電磁的記録不正作成および供用。
・脱税、粉飾決算、架空預金、不正融資、贈収賄、政治家・官僚・公務員に対する不正行為。
・特定株主に対する対策、利益供与、損失補てん、株価操作。
・独占禁止法違反。
(2)反社会型事件
・セクハラ、パワハラ、モラハラ。
・公害、環境汚染・破壊。
・暴力団との付き合い、違法商法。
(3)賠償責任型事件
この型の事件は、上の2つの類型のスキャンダルから民事責任として発生する事件もありますが、特に注目すべきものは以下になります。
・製造物責任訴訟事件。
・工場火災・爆発などによる地域住民被害、環境汚染被害に関する訴訟事件。
・労働災害に関する訴訟事件。
・取締役の責任による株式代表訴訟事件。