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企業の国際化と法務

企業が自らの事業を拡大発展させるうえで投資は必要となってきます。日本の企業の投資は、当然のことながら国内投資から始まります。
しかしながら、国内市場の成熟化の進展、企業自身の規模拡大の流れの中で、事業活動の海外への進出は避けられないこととなってきました。日本企業の国際化は、輸出取引から海外への事業投資へと流れを変えてきたと言えます。したがって、企業の海外での事業投資に絡む問題を検討していくことが重要になってきます。

初期段階における企業の事業投資は、いわゆる“マーケット・イン型”の投資が多くなります。これは通商摩擦などの外的条件により自社の海外市場を守るための代替的な処理でもあります。いわば、積極的な投資ではなく、その背景には押し出されるような投資が多かったのです。
しかし、1985年のプラザ合意による為替レートの調整は、企業の競争力に劇的なインパクトを与え、事業投資のあり方を変えるものでした。企業の事業投資にもこれを契機により積極的なものへと変質していきます。その変化を決定的にしたのは、アジア諸国、なかんずく、NIES、ASEANに続く中国の対等でした。90年代初頭からのASEAN各国への事業投資は、90年代中頃以降には中国へと移り、規模も拡大し一層活性化しています。2000年以降は、国内産業の空洞化さえささやかれるまでになっています。

このような企業の海外への投資行動は、“真の意味”での企業の国際化をもたらしたとも言えます。企業の国際化は、日本で生産した製品の輸出の段階から、海外での製造・販売活動の拠点を求め、子会社設立、海外のパートナーとの合弁企業の設立へと進んでいきます。子会社・合弁会社が設立される場所が外国であれば、当然ながら設立当該国での関連の法制、具体的には、会社法、投資関連法、税法、雇用法などの知識も必要とされます。この分野では、法務担当者であっても、当該国の市場情勢、経済事情を把握しておく必要があり、事業計画の最初の段階から参加しておくことが望ましいでしょう。

子会社・合弁会社の設立が海外事業展開の最初の段階とすれば、次に子会社・合弁会社の運営/管理に絡む様々な法務問題、例えば、相手方パートナーとの合弁事業経営上の論争/紛争、相手国行政当局との行政手続き上の問題などの処理が必要となります。
そして、海外事業の成熟段階での組織の変更、事業の譲渡、清算・撤退などの場合、組織の変更・再編・撤退は、相手方パートナーとの利害の衝突を引き起こす事があります。相手方の同意が得られない場合の対応策としてどのような点が問題となるのか十分な検討が必要になるでしょう。

事業投資は、企業自身の国際化とも言えます。外国に投資することによって、投資対象国の様々な制度や法律の規制を受けることになります。もちろん、輸出契約も準拠法が外国法であれば、その範囲で他国の法制の影響を受けることになりますが、企業そのもの、あるいは企業に属する人が海外の法制に直接に服する事はありません。
その意味で、事業投資は企業が本格的な国際化の段階に入る事を意味すると言えるでしょう。

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