企業倫理の基礎

企業経営においてリーガルリスク・マネジメントを完全に確立するための第三の要件は、企業倫理の高揚です。いまや、経営と法律の一体化は当然の事と言う時代であり、それを実践化するのが完全な会社法規部であり、法規部がその使命を果たすためには第三の要件として企業倫理の高揚があります。
「倫理」は法や宗教とともに規範です。要するに営利を追求する組織体である企業の倫理・道義またはモラルの問題であり「商道徳」と言っても良いでしょう。

アメリカ企業では、行動倫理規範は重視され、その内容が広範囲かつ詳細に明文化されていましたが、日本では一般的には1990年代に入ってから問題とされるようになりました。アメリカでは多民族で国家が形成され、かつ労働の流動性が高いのに反し、日本では家族主義、終身雇用制が支配されていたことに起因するとも言われています。

『経団連憲章』
(1)企業行動の指針
無責任なバブル経済が崩壊し、1990年10月1日、日本の証券市場は大暴落を演じました。この翌年に、証券・金融業界の一連の不祥事が起きて大きな社会問題となりました。経済団体連合会はこのスキャンダルを反省し、これを契機に日本の企業が国際的にも通用する企業行動の買う率が要請されたことを受けて1991年9月に「企業行動憲章」を公表し、約1,000社の会員企業にこの憲章を遵守することを申し合わせました。

ところが、経団連が公表した「企業行動憲章」は遵守されず、その後も利益供与禁止違反事件などの不祥事が後を絶たず、1997年12月17日、企業行動憲章を改訂し、新しい10原則を定め会員企業がこの憲章の遵守を申し合わせました。

(2)企業倫理を遵守する基本理念
世界最大の自動車メーカ・ゼネラル・モーターズには、コーポレートガバナンスに関するガイドラインがあります。また、IBMの「企業倫理基準」は完ぺきに近く高く評価されており、同社の倫理基準はIBMのあらゆる行動の指針となる七つの経営理念に基づいて作成されています。

経団連の企業行動憲章は、具体的に明示した「アメリカ企業の行動基準」と比較するとまだまだ抽象的と言えます。問題はこの行動憲章をトップマネジメントが本気で遵守し企業内で実践していくか、にかかっています。
法意識と倫理の欠如を乗り越えて企業がリーガルリスク・マネジメントを真に確立するためには企業経営者が“会社はだれのものか”と言うコーポレート・ガバナンス基本理念を認識することに帰結するでしょう。コーポレート・ガバナンスの認識は、リーガルリスク・マネジメント確立の第四の要件との言えるテーマなのです。

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