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共同開発契約の基礎

近年、企業間の事業提携の一環として、企業同士による共同開発が進められています。その理由として、下記の点が考えられます。
①企業が自らの強い技術、弱い技術を補い合う事
②新規製品の研究開発に要する巨大なコストを分け合い、リスクの分散を図る事
③製品・技術の事実上の標準を目指し協力し合う事
④開発期間の短縮を図る事

要は、複数の企業同士が自己の人的・物的資源の有効な活用を目指し、製品・製法などの新技術の開発を分担し、その成果を共同で利用する事を意図する契約が共同開発契約です。
ライセンス契約が、企業がすでに開発を終了し、主に自己の知的財産として保有・蓄積したものの利用・実施に関係するものであるとすれば、共同開発契約は、将来の知的財産を作り上げていくことに力点が置かれています。
将来の知的財産の創造の方策としては、自主開発を目指すことが常道ですが、種々の事情によって、他社との連携による開発は避けられず、共同開発契約はその重要な手法であると言えます。

共同開発契約パターンは、当事者間の力関係と業態の違いを反映するものになります。

(1)水平関係の当事者による共同開発契約
原則的に均等な負担(人的・物的)による平等型共同開発契約と一方の当事者が開発の主体であり、他方当事者がこれに協力する補完型共同開発契約があります。このタイプの場合、核開発当事者の負担割合や成果の配分・帰属については寄与の“度合い”をどのように査定するかと言う問題があります。

(2)垂直関係の当事者による共同開発契約
部品業者と完成品業者、機械メーカーと機械材料業者、また、昨今増えているメーカーとユーザーとの連携による製品の共同開発もあります。業態が異なる業者の共同作業であり、負担の決定、成果の分配と利用の仕方など、水平業者間の考え方との違いが生じる可能性があります。

共同開発契約の問題点についてまとめます。

(1)開発当事者間の業務及び費用の分担
当事者の業務範囲を明確にすることと自らの業務は、通常、当事者自身の施設で行う事が原則となります。問題点としては、①自らの業務を相手方当事者の施設を使って行う場合の使用方法、費用負担、機密保持などの取決め、②第三者の施設を使う場合や業務を委託する場合の取決め、③当事者間の業務・費用分担のアンバランスをどう調節するか、があります。

(2)開発の達成基準を明確にすべきである
共同開発の対象となる分野については、開発コストをセーブできる反面、自身による開発を制限されることになります。したがって、一定の期間に一定の成果が達成するようにタイム・フレームを設定する必要があります。そうしなければ、時間を浪費し、他社に技術格差をつけるタイミングを逸することになりかねません。また達成度をどのように評価するかは重要な問題となります。
契約に盛り込むポイントとしては、①各当事者に達成度に関する報告書を提出させる、②誰が、どういう基準で評価するかを決めておく必要がある、③所定の基準を達成できなかった当事者に対する措置を決めておく、必要があります。

(3)達成された成果の権利関係を明確にする必要がある
考え方としては、①特許権などの知的財産権を共有する方式、があります。たとえば、特許の申請は共同で行います。その他、申請などの手続き費用の負担、権利の譲渡、外国出願にあたっての取決めなどを契約に規定する必要があります。
また、②開発の寄与度により、一方の当事者の権利とし、他当事者に実施権を与える方式が考えられます。特許の申請などの費用は権利を持つ当事者が負担します。ただし、実務的にはいくつかのポイントを明確にしておく必要があるでしょう。
例えば、共同開発と言っても、当事者は原則として自らの施設で自らのスタッフにより行う場合も多く、その場合、他の当事者の寄与度はゼロと考えても良く、権利は当該当事者のものとなります。

(4)共同開発中の情報交換と機密保持について規定しておくこと
共同開発の様々な段階で当事者間の情報が交換され、または人的交流による機密開示が起こります。機密保持の違反条項は当然必要となりますが、綿密な規定が求められるでしょう。具体的には、①情報の第三者への開示の禁止、また当事者の機密保持義務徹底のため、当事者の役員・従業員などからの誓約書取得の義務を課す。②開発目的以外のために情報を使用しない事を義務付ける。などがあります。
なお、提供した情報については、提供当事者は自由に使用できる事は当然となります。

(5)契約終了後の機密保持については特に各当事者の使用制限をどうするのかあらかじめ決めておく必要がある
①成果は共同開発の対象分野以外の広い分野で使用される事も考えられます。この点は慎重に検討すべきでしょう。②機密保持期間を定める、③原則として相手当事者に属している資料はコピーを含め変換させる、必要があります。
なお、共同開発契約は、その契約当事者の構成、契約の閉鎖性、共同開発の成果の他社への実施制限などにつき独占禁止法制への配慮を怠ってはいけません。

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