増値税と営業税
増値税と営業税
課税対象 |
中国国内で、(1)物品の販売(2)加工、修理、補修役務の提供(3)物品の輸入を行う場合 |
役務提供・無形資産等取引 |
税率 |
基本税率は17%。穀物、食用植物油、上水、飼料、農薬など一部物品の税率は13%です。 |
3~20%(3%、5%が多い) |
税額計算 |
(販売金額×増値税率)-(仕入金額×増値税率) ただし、小規模納税者(生産・サービスの場合年商100万元、卸小売りは年商180万元以下)は売上高に税率(4~6%)を掛けた額(仕入れ税額控除はない) |
仕入税額控除無 |
輸出 |
販売税額はゼロになり(「増値税暫定条例」の第2条第(3)項)、仕入増値税が還付される。 |
輸出免税無。 |
輸入 |
(CIF価格+関税+消費税)×17% 納税義務者は輸入者 |
|
免税 |
製品を販売するときの販売税額が免除されること。仕入れ段階で支払った増値税は還付されない。 |
中国国務院令第538条「増値税暫定条例」
第1条:「中国国内で商品を販売する、また加工・修理補修の役務を行う、または商品の輸入を行う単位(会社や団体)あるいは個人(個人経営の企業)が、納税義務者であり、本規定に基づいて納税しなければなりません。
第2条:増値税の税率は17%。ただし、国家統制的な生活基盤商品などの食糧・大豆など油脂類、水道、石油ガス、また農業関連の肥料や農薬などは13%。
増値税の納税義務者(小規模納税義務者と一般納税義務者)
小規模納税義務者
以下の要件を満たす者を言います。
業種 |
課税売上高 |
物品生産または課税役務提供に従事する納税者 |
年間の増値税の課税売上高が50万元以下 |
物品生産または課税役務提供への従事を主として※、物品の卸売りまたは小売りを兼業する納税者 |
年間の増値税の課税売上高が50万元以下 |
上記以外の納税者 |
年間の増値税の課税売上高が80万元以下 |
※「物品生産または課税役務提供への従事を主(として)」とは、納税者の年間の物品生産または課税役務提供の売上高の年間課税売上高に占める比率が50%以上の場合を指します)。
一般納税義務者
小規模納税義務者以外の納税義務者をいいます(実施細則第11条)。
一般納税者資格認定は、「増値税一般納税者資格認定管理弁法」(2010年3月20日施行)によります。
課税売上高が上記基準額を超えた場合は、主観税務局で資格認定を申請してください。
また、課税売上高が上記準を超えていない場合であっても、資格認定を申請することができます。還付が大きい場合などはこちらの方が有利です。
また、新規開業の場合も資格認定を申請することができます。
輸出増値税の還付方法:中国から海外に輸出する場合
Q. 中国から海外に貨物を輸出する際の増値税の還付方法の概要を教えてください。
A.
I. 輸出品にかかわる増値税還付の具体的な計算方法
輸出品にかかわる増値税還付の適用範囲、計算方法については、「輸出貨物役務増値税及び消費税に関する政策の通知」に規定されています。
1. 生産型企業が輸出する場合の還付計算
生産型企業が自己の工場で製造した製品について、中国国内での販売と輸出の両方を行っており、一部免税の輸入仕入料が含まれるケースです。仕入額等は以下のとおり仮定します。
中国国内仕入額: RMB72,000
中国国内売上額: RMB45,000
輸出FOB価格: RMB40,000
免税輸入原材料額: RMB25,000
増値税率: 17%
当該製品の輸出還付率: 13%
〔計算例〕
(1)仕入増値税額
RMB72,000×17%=RMB12,240
(2)国内売上分増値税額
RMB45,000×17%=RMB7,650
(3)輸出時の増値税還付額
(RMB40,000-RMB25,000)×13%=RMB1,950
(4)輸出時の増値税不還付額
(RMB40,000-RMB25,000)×(17%-13%)=RMB600
(5)増値税納付額
RMB7,650-(RMB12,240-RMB600)=▲RMB3,990
[注]上記のように増値税納付額(絶対値=(5))が、増値税還付額(=(3))を超えた場合、差額分は次期へ繰り越して控除します。上記のケースでは当期の還付額はRMB1,950となり、差額のRMB2,040は次期増値税納付額から控除します。
2. 貿易型企業が輸出する場合の還付計算
貿易型企業は加工工程を含まないため、輸出の還付方法は比較的簡単で、以下のような計算式となります。
増値税還付税額=増値税抜き国内仕入金額×還付税率
〔計算例〕
中国国内仕入額: RMB40,000
増値税率: 17%
当該製品の輸出還付率: 13%
増値税還付額=RMB40,000×13%=RMB5,200
II. 輸出品増値税還付取扱手続き
1. 税還付(免除)の認定
輸出業者は対外貿易事業者届出を完成した後30日以内に、または輸出委託代理協議書を締結した後30日以内に、所在地の税務機関で輸出貨物税還付(免除)認定手続きを行わなければなりません。
2. 税還付(免除)の申告
輸出業者は規定期限内(輸出通関日からその翌月の増値税申告期限まで)に税務機関で輸出貨物税還付(免除)手続きを行わなければなりません(「輸出貨物役務増値税と消費税に関する管理弁法」)。輸出貨物税還付(免除)に必要な関連証憑を準備し、国家税務総局が認める輸出貨物税金還付(免除)電子申告システムによる電子申告データを使用し、輸出貨物税還付(免除)申告表を事実に基づいて記入し提出します。
輸出業者は、貨物通関日の翌月から翌年の4月30日前の各増値税納税申告期間内に主管税務機関で輸出貨物税還付(免除)手続きを行わなければなりません。上記期限を越えた場合は税還付(免除)を申告することができません。なお、貿易型企業の場合は、主管税務機関の認可を経て、増値税納税申告期間以外のその他の時間でも税還付・免除の申告をすることができます。
III. その他留意点
1.2010年12日1日から、外商投資企業についても、内資企業と同様に「中華人民共和国都市維持建設税暫定条例」と「教育費付加徴収の暫定規定」が適用されています。当期に控除する増値税額には、これら2つの条例と規定に基づき、それぞれ都市維持建設税と教育費が付加されています。
2.2013年8月1日からは、輸出企業は税還付(免除)を申告する輸出貨物について、必ず税還付(免除)申告締切日までに外貨を受取り、「輸出企業が輸出貨物税金(免除)還付申告時に外貨受取資料を提供する関連問題に関する公告」の規定に基づき外貨受取資料を提供することが義務付けられました。
営業税(3%、5%)
(参考)営業税から増値税への移行(営改増)の試み(2014年1月廃止)
2012年1月1日 上海にて営改増を施行
2013年8月1日 営改増試行は全国へ(財税(2013年)37号)
2014年1月1日 営改増全国試行(財政(2013)37号)は廃止(財政(2013)106号)
2013年8月1日に施行し、2014年1月1日に廃止された営改増試行の内容は、鉄道運輸、郵便、電話、通信、建築、金融保険、文化スポーツ、娯楽、無形資産譲渡等の分野を除き、営業税は廃止し、増値税に一本化するというものです。なお税率は以下の通りです。
17% |
リース業 |
11% |
交通運輸業(鉄道を除く) |
6% |
技術サービス、研究開発、ソフトウェア、情報システム、設計、商標・著作権譲渡、公告、会議・展示会、運輸代理、代理通関、倉庫、コンサルタント業、映画等 |
外国企業による中国国内での技術指導等に対する増値税の源泉徴収
中国に拠点をもたない外国企業が中国国内で技術指導等上記サービスを提供した場合、報酬海外送金の際、送金側に営業税に代わり増値税が源泉徴収される。
源泉徴収額=報酬×税率÷(1+税率)