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外国為替リスク

国際契約に固有の問題の一つに外国為替リスクがあります。日本円での取引であれば日本企業には為替リスクは生じませんが、相手方にはそのリスクが生じ、そのため契約において為替変動リスクをいずれの当事者が負担するかが契約上の重要な事項となります。これは、日本を含め主要国が変動相場制を採用しているために起こる問題です。
国際取引においては為替変動のリスクが非常に大きくなっているので、その支払い条件と支払い通貨の問題は契約の重要な項目となります。特に「長期購買契約」は、その名の通り長期間にわたる契約ですので、その間の為替変動リスクのみならず、原材料などの価格変動リスクにも注意する必要があります。

為替リスクによる影響がいかに大きいかを示したのが、1997年から1998年にかけて発生した、いわゆるアジア通貨危機です。その時のタイ・韓国・インドネシアの対米ドルの各国通貨のレート及び下落率は以下のようになっています。

・タイ(バーツ) 
1997/3/14時点でのレート:25.97
1998/3/13時点でのレート:41.40
下落率:59.4%

・韓国(ウォン)
1997/3/14時点でのレート:874
1998/3/13時点でのレート:1,515
下落率:73.5%

・インドネシア(ルビア)
1997/3/14時点でのレート2,402
1998/3/13時点でのレート:10,550
下落率:339.2%

タイの通貨バーツを例に、為替変動リスクが損益に及ぼす影響を見てみましょう。
タイの輸出業者と輸入業者が、それぞれ米国の会社との間で米ドル建てにより1997年に契約締結し、1年後の1998年に代金を決済したとします。言うまでもなく、輸出業者はタイバーツでの受取りが約59.4%も増加して為替益を享受することになりますが、逆に輸入業者は59.4%のタイバーツでの支払いをすることになり、1年前と比較すると59.4%の為替損失を負担することになります。

このような場合の為替変動リスクを自己リスクとする事も選択肢の一つではありますが、時によりあまりに投機的とも言えるでしょう。そこで為替変動リスクを回避する方法を検討して積極的に対応する必要があります。

為替変動リスクに対してどのような対応策を講ずることが出来るでしょうか。具体的方策を以下にまとめてみましょう。

① 自社の為替の持ち高(外貨建て債券・債務)の均衝を図る(marry)。
② 自国通貨建てで契約する。
③ 一定範囲以上の為替変動部分について、契約当事者間で折半負担とする。
④ 為替先物予約をする(銀行や商社と契約)。
⑤ 為替変動を見込んだ契約価格とする。

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