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契約責任 ~クレームとその対応・1~

【 契約責任 ~クレームとその対応・1~ 】

■クレーム(Claim)とは(2)

『クレームの根拠・1』

クレームの請求根拠は三つに大別できます。

第一は債務不履行、第二は契約上または法律上の責任への違反、第三に契約外の法律上の責任である不法行為や製造物責任です。

これらを具体的に見ていきましょう。

 

(1)債務不履行によるクレーム

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することが出来ます。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をする事が出来なくなった時も、同様とする。」(民法415条)

債務者は債務の本旨に従った履行をする責任があるので、それを怠った時に債権者から請求(クレーム)を受けることになります。債務不履行には一般に、①履行遅延、②履行不能、③不完全履行、の様態があります。債務不履行の効果は、契約の準拠法如何によって異なるにしても、この三つの様態は準拠法に関係なくクレームの規準となります。

民法は、債務不履行の要件として債務者に故意または過失による帰責事由がある事を求め、その効果として損害賠償の請求、完全履行の請求、契約の解除を認めています。

この債務不履行に基づく請求、特に履行遅滞と不完全履行が第一のクレームの内容になります。

 

(2)瑕疵担保責任による請求とWarranty(保証責任規定)違反によるクレーム

・民法の担保責任

有償契約において債務者が給付した契約の目的物や権利に瑕疵(法律上、何らかの欠点や欠陥があると認められること)がある場合、給付したものが相手方に対して負う責任の事を広く担保責任と呼びます。それは双務契約の性質(問自社双方が互いに対価的な意義を持つ債務を負担する)からして当然要求されるものです。

瑕疵は、契約目的物の権利についての瑕疵と物についての瑕疵に区分されるのですが、物についての瑕疵の担保責任の事を特に瑕疵担保と言います。この瑕疵担保責任は、債務不履行と異なり無過失責任とされ、損害賠償の責任外になります。

 

・国際取引契約での瑕疵担保責任

契約準拠法が日本法だった場合、契約規程を置かなくても民法・商法上の瑕疵担保責任の規定が適用されることになります。その一方で、日本企業における国際取引契約の多くは英語で締結されていることも事実です。

英文契約書では瑕疵担保責任はどのように表現されているのでしょうか。一般的には、“Warranty”や“Defect  liability”が最も多く使用されているようです。そのほか、“Guaranty”や稀に“Maintenance”と言った単語も使用されます。

 

国際契約のほとんどが、準拠法の如何を問わず瑕疵担保責任について直接解約規定を置いているのが実態です。売主が、契約目的物の引き渡し後一定期間内は欠陥の無いことを保証し、保証に違反する瑕疵・欠陥が発生すれば、その欠陥を修理・補修するか、代替品を供給する、と言うのが一般的な保証条件であり、これが瑕疵担保責任の契約規程となります。

 

この保証責任規程に違反(breach of warranty obligation)したときの請求(クレーム)が第2のクレームの根拠です。尚、英米法系の法律を契約準拠法とした場合、契約規程として明治の保障条件とは別に黙示の保障条件を負う事がありますが、黙示の瑕疵担保責任による請求もこのクレームに含まれます。

 

・Indemnification(損害補償)によるクレーム

制作物供給契約やプラント建設工事契約等の契約規定に、indemnity、hold harmlessと言う表題の条項が置かれる事があります。売主や請負者が締結した契約の履行に関連してその過失・契約条項違反などによって買主や発注者が被るかもしれない損害や債務を補償すると言う条文です。この契約上の損害補償条項に基づくクレームについてです。

また、ライセンス契約でも第三者の特許などの知的財産権を侵害していない事を保証し、万が一第三者の知的財産権を侵害した場合には、ライセンサーがライセンシーに保証する契約を締結する事があります。中国の技術輸出入管理条例24条では、中国の技術供与について、外国ライセンサーに第三者特許などの侵害に伴う補償責任を法的責任として負われています。

 

Indemnity(補償)の契約文言はおおよそ次のように規定されます。

“請負者は、本契約を履行するにあたり、発注者に対してなされるクレームや要求を防御し、かつ、いかなる過失による作為・不作為、請負者による違反行為または合意・保証もしくは本契約に規定されているその他の規定違反から発生するか関係することから負担するか、もしくは引き受けいかなる債務、損害、損失、オスともしくは費用について発注者に補償する事に合意する。”

 

・契約外での法律上の責任によるクレーム

不法行為や製造物責任に基づいた請求で、第3のクレームにあたります。

 

以上がクレームの主要な請求根拠になります。しかし実際は、それが重畳的に請求される事がありえます。たとえば、製品の保証期間中に欠陥が発生したとすれば、請求権者は不完全履行に基づいても、保証契約または損害補償契約の違反としてもクレームを請求しうることになります。

 

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