「離檀料は法事三回分と書いてるサイトもあるが、私の場合はいくら払えばいいの?」
「離檀料は払う義務がないというサイトと、払った方がいいというサイトもあるけど、結局何が正しいの?」
「離檀料の相場は地域によっても違うの??」
「私の場合、離壇料を払う必要があるの?」
「結局、離檀料はいくらが正しいの?」
と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、
・離檀料の相場は0円~30万円の間であり、
・それはあなた自身の置かれている状況によって変わります。
あなた自身が離壇料の支払いを必要としているかどうかをわからないまま墓じまいや離檀の手続を始めてしまうと、
・払わなくてもよい離壇料を払ってしまった
・お寺が提示した離壇料が高すぎる
・離壇料の支払いを拒絶したら墓じまいが進められなくなった
・親戚関係が悪化してしまった
などのトラブルに発展することがあります。
繰り返しますが、円満に墓じまいをするために、あなたが置かれている状況により、妥当な金額は変わります。
この記事を読んで、あなたが払うべき離檀料の相場を知り、円滑に交渉を進めて、円満な墓じまいを実現していただきたいと思います。
このページでは、墓じまいに詳しい弁護士が、弁護士実務の観点から次の6点を解説します。
すべて読めば、あなたの場合に離壇料を払う必要があるのか、いくら払えばよいのかを知ることができます。
また、トラブルが生じる可能性とその対応も知ることができます。
※離檀料に関する情報の注意事項
現在「離檀料」とWEBで検索すると、
「離檀料を支払い義務はない」
「10万円~30万円が相場です」
「3万円で十分です」
「法事3回分が妥当」
といったさまざまな情報が出てきます。
しかしこれらは業者が宣伝用に書いた情報がほとんどであり、
なぜその金額なのか、根拠が書かれておりません。
このページでは、離檀料の根拠まで掘り下げて解説いたします。
1.何のために離壇料を払うのか
離壇料はお寺や地域との関係を円満にするために支払います。
支払い義務があるからでは? とお考えの方もいるかと思いますが、法的には離檀料の支払い義務はありません。
「義務がないから払いません。以上。」
法的見解としてはこれで十分ではありますが、
実務ではある程度の離檀料支払った方がよいケースがあります。
それはご依頼者の方にとって離壇料を支払う必要があるケースです。
インターネットで調べてみても、何のために支払うのか、その根拠を明確にしたサイトはありません。
ではなぜ離壇料を払うほうがよいケースがあるのでしょうか。
そのためにも、離壇料とは何かをきちんと理解する必要があります。
1.1.そもそも離檀料とは何か?
離檀料とは、檀家をやめる(離れる)ために寺院に支払うお布施のことですが、
一種の「手切れ金」または「迷惑料」としての性質を有します。
お寺や地域と何のつながりもない人にとっては、一円も払う必要はありません。
例えば、地方にお墓を持っていますが、その地域に住んだこともなく、また親戚もいない、というケースです。
しかしながら、親族や友人がお寺の地域に住んでいるなど、
今後もそのお寺や地域とつながりがある方については、
離檀は寺院だけでなく地域にも迷惑がかかる行為ですので、
手切れ金または迷惑料として、離壇料を支払う必要があります。
2.檀家と護持会
離檀がなぜ地域に迷惑がかかるのかを理解するには、
まず檀家とは何かを知る必要があり、また護持会についても知る必要があります。
2.1.檀家とは?
檀家とは、墓地にお墓を持っている家であり、お寺のスポンサーのことです。
江戸時代のキリスト教禁制のためにはじめた寺請制度が檀家制度のはじまりとされており、
これは現在の市区町村が管理する戸籍制度のようなものだったと言われています。
檀家はお寺を財政面で支える役割が期待されています。
なお、檀家の中にも役割や負担に違いがあり、リーダー的役割の檀家総代と呼ばれる檀家があります。
檀家総代は、お寺の責任役員になっていたり、お寺の行事を率先して手伝ったり、また他の檀家よりも高いお布施を納めたりします。
2.2.護持会とは?
護持会とは、檀家の親睦会であり、檀家により構成される団体です。
寺院という宗教法人とは全く別ものです。
目的は、その名の通り「お寺を護る会」です。
護持会費は、年間で5千円~数万円が相場です。
一般に、檀家が多い寺院の護持会の費用は安く、檀家が少ないところは高い傾向にあります。
護持会によっては、地域に密着した活動をしており、例えば地元の盆踊りなどのイベントを護持会が主催している地域があります。
護持会との関係が悪化した場合、このような地域のイベントに参加することが難しくなる場合があります。
お寺の地域に実家がある方や親戚がお住まいの方は、護持会の活動内容をよく調べる必要があります。
なぜなら、寺院や護持会との関係を悪化させることが、その地域に住む親族などに迷惑がかかることがあるからです。
2.3.あなたが檀家をやめると他の檀家の負担が増えます
檀家をやめると他の檀家の金銭的負担が増えます。
お寺は事あるごとに檀家に寄付を求めます。
例えばお寺の本堂の建替えは小さなお寺でも1億円、
もう少し規模の大きなお寺ですがそれ以上のお金がかかります。
そんなにお金がかかるのか、と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょうが、
寺社建築では大きな木材を用いますので材料費が極めて高くなります。
また、お寺は修繕費用を積み立てていないのがほとんどですので、檀家に寄付を求めます。
檀家の数は300前後の中規模寺院を想定すると、本堂建替費用が1億8千万円とすると、檀家一軒あたり60万円の寄付が求められる計算になります。
したがって、檀家が減ると残された檀家の負担割合が増える、という構図になります。
檀家数が少ない寺院ですと、各檀家に与える影響はもっと大きくなります。
ちなみに本堂の建替えは60年位の周期で必要です。
2.4.ご先祖様とお寺の関係
ご先祖様がお寺や護持会の役員になっていたことがあれば、
お寺や護持会も、あなたの一家に対して、お寺や地域に貢献してくれることを期待しています。
人は期待が裏切られると怒りに変わる理不尽さがあります。
したがって、ご先祖様が高めてしまったお寺や護持会に対する期待がどの程度かを理解しておく必要があります。
ご先祖様が護持会の役員を務められたことがある場合などには、ある程度の離壇料を支払わないと納得が得られません。
3.離壇料を払う必要のある人、必要のない人
檀家をやめることはその地域に迷惑がかかる行為ですので、
その償いとして、ある程度の離壇料を支払う必要が生じます。
別に迷惑を掛けてもいいよ、というのであれば、離檀料はゼロ円で大丈夫です。
3.1.必要性の判断
では、あなた自身、離檀料を支払う必要があるのか、どのように判断したらよいのかわからないのではないでしょうか。
このサイトでは、離壇料を支払う必要があるかどうかの判断の参考となる基準を示します。
次の5つの質問にYES/NOでお答えください。
回答に迷うときや判断できない場合は、YESでカウントしてください。
1.住職には先祖代々お世話になった YES/NO
2.自身または親兄弟が護持会や寺院の役員をしていた(している) YES/NO
3.家族や親族が、今の住職と親交がある YES/NO
4.護持会の活動に参加したことがある YES/NO
5.離檀料を払っても良いと考えている YES/NO
YESの数が0個の方は、離壇料を支払う必要はありません。
YESの数が1~3個の方は、離檀料を支払わなくても大きな問題にはなりませんが、判断が分かれるところですので、不安に思われる方は専門家へ相談することをおすすめします。
YESの数が4個以上の方は、離壇料を支払った方が円満な解決になることが多いです。
3.2.離檀料を支払う必要がない方の注意事項
離檀料を支払う必要性がなければゼロ円でもよいのですが、
2000年以降に、檀家になった方、お寺の檀家規約が改訂されたという方は、注意が必要です。
近年では、檀家規約が整備されて、その中に離壇料を明記する寺院が出てきましたので、
お寺の檀家規約についてはよくお確かめください。
お寺の檀家規約がお手元にない、内容がよくわからないといった方は、
弁護士などの専門家への相談をおすすめいたします。
また、墓じまいにおける改装申請には住職の印鑑が必要となります。
離壇料の支払いを拒絶することで、住職に捺印を拒否されてしまい、手続きが進まなくなってしまうケースがあります。
4.離檀料相場の目安
離檀料を支払う必要があると言われても、
あなた自身は、一体いくら支払えばよいのでしょうか。
離檀料の相場に大きく影響を与える要素は次の3つです。
・ご先祖様と寺院との関わり合い方
・離壇料を支払う必要性の程度
・過去に離檀された方がいくら支払ったのか
次に、交渉における次の要素も相場に影響を与えます。
・あなたの交渉の仕方
・お寺の離檀料に対する考え方
ここでは、離檀料の算定の参考基準を示します。
あくまでも参考としての基準としてお使いください。
これはお願いとなりますが、このサイトによると離檀料は◯◯万円だった、といった言い方はくれぐれも避けてください。
交渉においては相互の信頼関係の構築が重要となりますが、信頼関係を壊して修復不能にしてしまうからです。
4.1.離壇料を決める3つの要素
①その寺院で過去に離檀された方がいくら支払ったのか、
もしお分かりでしたらそれが一番の参考になります。
しかし、過去の離檀料についてよく知る人はほとんどいないと思います。
②そこで、まずはご先祖様と寺院との関わり方を基準にしていきます。
ご先祖様の戒名が「信士」または「信女」である 3~5万円
ご先祖様の戒名が「居士」または「大姉」である 5~15万円
ご先祖様の戒名が「院信士」または「院信女」である 15~30万円
この金額基準には少し幅があるのは、
あなたが離壇料を支払う必要性により金額が上下するからです。
③さきほど、離檀料の必要性について5つの質問をしましたが、
YESと答えた数を覚えているでしょうか?
1~2個であれば下限の金額
3個であれば真ん中くらいの金額
4個以上であれば上限の金額
が大体の目安になります。
4.2.交渉が与える影響
次に、目安を参考にしながら、円満解決という目的に照らして、
あなたの交渉の仕方も考慮しながら、
いくらが妥当なのかを算定していきます。
交渉が上手な方でしたら金額は下がりますし、
交渉に慣れていない方でしたら金額を上げておくのが賢明です。
またお寺が離壇料をどのように考えているのかも、
交渉の進め方に大きな影響を与えます。
これらは、実際に相手方と対峙してみてはじめて分かる要素となります。
そういう意味で、これらは不確定要素となります。
5.離檀料の話し合いがこじれて住職に墓じまいを拒絶される可能性
墓じまいの改葬手続の際には、住職に印鑑を押してもらう必要があります。
離檀料の話し合いがこじれると、住職に捺印を拒絶されることがありますが、
この場合どうやって改装手続を進めたらよいでしょうか。
結論から言うと、法的措置を見据えた交渉が必要となります。
では法的措置を見据えた交渉は、弁護士に頼まないで進められるでしょうか。
WEBで検索すれば法律知識は比較的簡単に集めることができます。
しかし、WEBの情報は常に正しいとは限りません。
その情報が正しいのかどうやって判断したらよいでしょうか。
ひとつは弁護士が書いたWEBサイトの情報は正しいと言って良いと思います。
次に、WEBの情報が正しいとしても、あなたの置かれた状況に適用できるのか、
同じような事例を見つけたとしても、あなたの置かれた状況とまったく同じではありません。
何が同じで何が違うのか、その違いが結論にどう影響するのか、を理解しないといけません。
法的措置は、医者が処方する薬のようなもので、一歩間違えると効果がないだけでなく取り返しのつかない副作用を招くことがあります。
やみくもに集めた情報でも、とりあえず形だけは整った書類はできますが、弁護士の目から見ると問題だらけです。
依頼者が作成した書類をいただくこともありますが、結局すべて書き直すことになります。
6.最後に
離檀料の相場について、その根拠から説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
お寺や地域との付き合い方から、離壇料を支払う必要があるのかどうか、またいくら払えばよいのか、が決まります。
適正な金額の離檀料を提示してもトラブルに発展してしまうケースがありますが、できるだけ早く専門家に相談してください。
専門家の選び方については、次のページをご覧ください。
あなたの墓じまいが円満になることを心から祈っております。
確かに、檀家の菩提寺との関係の深さで、出来たら、弁護士が出張って話を大袈裟にしない方がいいのでしょう。
只、我が家の菩提寺が、檀家は金の成る木としか見ていない節があり、今まで檀家の為に菩提寺がしてくれた事はありません。普段、何もしない菩提寺が離檀する話を持っていけば、ゴネるのは火を見て明らか。でも、短時間に離檀、墓終い出来、その経費は少なければと思うのは当然かと。入壇時に納めた額の半分以下ならと腹積もりしてます。