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弁護士が解説! 誰でもわかる離檀トラブルの4つの専門家の使い分け

「離檀したいと言ったら、住職に説教された上に離壇料を払えと言われたけど、誰に相談したらいいの?」
「弁護士、司法書士、行政書士って何が違うの?」
「地元の石材店に相談したらいい」

離檀のトラブルが生じた場合、誰に相談したらよいのでしょうか?

結論から言うと、
トラブルになった場合、トラブルになりそうな場合は早めに弁護士に相談してください。
市役所にどういう書類を提出すべきかわからないときは、行政書士に相談してください。

あなたが抱えている問題の種類を分かずに、
またそれぞれの専門家の特性を知らずに相談してしまうと、

・住職が激怒して交渉が進まなくなってしまう
・高い離壇料を払うことになる
・非弁事件(弁護士以外が他人の紛争処理などを受託することで、法律で禁止されています。)に巻き込まれ、依頼料が返ってこない

このページでは、墓じまいと交渉に精通した弁護士が、弁護士実務の観点から次の6点を解説します。

すべて読めば、あなたの抱える問題がどういう種類の問題なのか、またどの専門家に相談するのが適切なのかを知ることができます。

※離檀料に関する情報の注意事項
「離檀料 相談」などとWEBで検索すると、
弁護士と司法書士の違いを理解していないサイトもあります。

1.「自分で交渉」のメリット・デメリット

ひとつは専門家に頼まずにご自身で行う方法があります。
メリットは費用がかからないことです。
専門家に頼むと報酬を支払う必要がありますが、自分で行えば報酬分だけ節約することができます。

デメリットは、
交渉が上手くいかずに事態を悪化させてしまうリスクがあること、
墓じまいに関する法律について自分で調べなければならないこと
解決の手間と時間がかかることです。

交渉がうまくいかない原因は、交渉の経験が少ないことだと思います。
これまでに営業職やカスタマーサービスなどを長年経験された方などは、
交渉経験が豊富と言ってよいと思います。

交渉材料は、離檀料だけではありません。
墓じまいを円滑に進めることが目的ですので、
離檀料は大幅減額できたが、墓じまいが進まなくなってしまったのでは意味がありません。

したがって、ご自身で交渉を行うことをおすすめできるのは、
交渉のご経験が豊富な方で、
墓じまいに関する法律知識がある方、もしくは勉強する意欲と時間がある方に限ります。

ひとつご注意いただきたいのは、墓じまいに伴う改葬手続では住職の印鑑が必要となることです。
住職が捺印を拒絶されると墓じまいが前に進みません。
この場合、法的な請求を行う必要がありますので、弁護士へ相談することをおすすめいたします

2.「地元の石材店に相談」のメリット・デメリット

次に、地元の石材店に相談する方法です。

一番のメリットは、相談料が別途かからないことです。
インターネットで調べると、住職との交渉に困ったら地元の石材店に相談するとよい、と書いてあるサイトもあります。

石材店は、墓石撤去工事を通じて、墓じまいをよく知っていますし、
寺院の実情にも詳しいことが多いです。
また、お墓の撤去工事の打ち合わせも同時に進められますので
時間面のメリットも大きいといえます。
実際に、墓じまいを始めようと、まずは石材店にご相談、という方は多くいます。

こんなにメリットがあるなら、石材店に相談するのが一番よい、と思われるのではないでしょうか。

しかし、石材店にとって一番大事なお客はあなたではありません。
石材店にとって一番大切な顧客は地元の寺院です。

石材店にとって一番のお客は、お墓の購入者ではないのか、という疑問も生じますが、実は違います。
寺院に出入りできなければお墓を買ってもらえません。
石材店にとっては、お寺の出入り業者になることが重要で、個人の顧客は二の次になります。

ましてや墓じまいの相談に来たお客さんは、お墓を購入してくれるわけでもないので、地元の石材店にとっては見込み客ですらありません。
そのような石材店が誰の味方なのかは明らかです。

したがって、地元の石材店に相談する場合には、全ておまかせするのではなく、情報収集のために、これまでの墓じまいの具体例をお尋ねすることをおすすめします。
その際には、寺院側に有利な情報が出てくることを忘れないでください。

て、後はご自身で寺院と交渉し、改葬手続を進めることをおすすめします。

3.「行政書士に相談」のメリット・デメリット

行政書士は、主に行政に提出する書類を作成します。
墓じまいにおいては、改葬手続書類の作成を依頼するのが一般です。

法律の専門家はいくつか種類がありますが、一番敷居の低いのが行政書士です。
全国に5万人以上の行政書士がいますので、身近な法律家といえば行政書士となるでしょう。

ただし、弁護士法72条という法律により紛争事案の取扱が禁止されます。
紛争解決には高度な法律知識が必要ですので、弁護士以外は紛争事案の取扱を禁止しています。
したがって、離檀料の金額などの争いがある場合、行政書士は依頼を受けることができません。

中には、紛争案件も書類作成業務の名目で受任する行政書士もいますが、
紛争が解決しないどころか、事案が複雑化してしまい、結局、弁護士に相談した、というケースもよくあります。
ですので、行政書士に依頼できるのは改葬手続まで、とするのがよいでしょう。

住職と関係が円満で金額に争いがない場合は、
改装手続を行政書士に依頼することをおすすめします。

4.「司法書士に相談」のメリット・デメリット

司法書士は登記のプロです。
特に不動産の登記手続については、弁護士も司法書士に依頼することが多いです(日本の登記制度が複雑なだけ、という見方もできますが、、)。

司法書士は、訴訟や示談交渉を行うことは原則禁止されています。
ただし、140万円以下の紛争に限り、法務省の認定を受けた一部の司法書士のみ、
示談交渉や簡易裁判所での訴訟を行うことができます。

弁護士との違いですが、司法書士は、
・小さな金額(140万円以下)の紛争に限定されることと、
・司法書士は紛争に関する法律教育(要件事実といいます)を受けていないこと、
が挙げられます。

あなたが司法書士に離檀料交渉を委託したとして、もし私が寺院側の弁護士であれば、対応は簡単です。
「140万円を超える離檀料を請求します。」
とだけ言えばよいのです。

この一言だけで、司法書士は、直ちに代理人を辞任(撤退)しなければなりません。
140万円を超える紛争は取り扱うことができませんので。

さらに言えば、
「本来であれば140万円を超える請求をしたいが、今回は100万円で和解したい」
と言われた場合、
あなたが依頼した司法書士は、どのような判断をするでしょうか?

請求が140万円を超えてしまうと辞めなければいけないので、
100万円で和解しよう、という気持ちになってもおかしくはありません。

司法書士を紛争解決の代理人にすることができるのは、
あなたがお金を請求する側であって、
その金額が、利息も含めて140万円以下の場合に限られます。

それ以外の場合は、迷わず弁護士に依頼してください。
もちろん、それでもあなたが司法書士に依頼したいのであれば、だめとは言いませんが、
依頼料を払ってまで、確実に負ける戦いをする理由がどこにあるのでしょうか。

5.「弁護士に相談」のメリット・デメリット

弁護士は法律と示談交渉のプロです。
扱える金額も無制限ですので、司法書士のような制限がありません。

しかし、弁護士は値段が高く、敷居が高く感じることが大きな問題です。

弁護士報酬については、事前に見積もりを依頼するとよいです。
見積もりの作成を嫌がる弁護士も多いのが実情ですが、
その分野の知見がない証拠であると同時に、
顧客視点に欠ける弁護士であることも多いので、おすすめできません。

さらに、墓じまいを専門としている弁護士を見つけることも難しいのが現状です。
弁護士の得意分野は、会社法、労務、知財、税務、不動産、離婚などいろいろあります。
その中でも墓埋法や宗教法人法などは特殊分野ですので、
そもそもお墓に関係する法律が何かよくわからない弁護士がほとんどです。

弁護士が運営するWEBサイトを見て、
あなたが知りたいことが少しでも書いてあるかどうか、
で判断する方法をおすすめします。

6.最後に

墓じまいの専門家について、それぞれ説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

専門家の中でも、特に士業と言われる業者は、名前が似通っていてよくわからないと思います。
ですので、まずは正確な情報に触れることからはじめてください。

そして、墓じまいでトラブルになった場合、なりそうな場合は、
早めに墓じまいに詳しい弁護士に相談してください。

あなたの墓じまいが円満になることを心から祈っております。

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