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弁護士とスペシャリスト

会社法や金融商品取引法が施行され、企業の経済活動に重要な影響を与える大規模な法改正は行われたにもかかわらず、大きなトラブルもなく企業活動に影響もありませんでした。そのような背景には、法改正の立案に携わった弁護士たちによる情報発信が大きく寄与しています。このように、企業法務に関する重要な法改正を背景に「立案担当者」への憧れが増しているようです。

このようなブームを受けて、新人弁護士の中にも「留学より官庁に出向してみたい」という希望を述べる人が増えているようです。では、「官庁への出向」という選択は弁護士のキャリア・プランニングという点において効果的といえるのでしょうか。

新人弁護士の官庁への出向願望は、法律事務所における「スペシャリスト志向」と相まって生まれてきました。つまり、これからの時代は単なるジェネラリスト弁護士では生き残れない、誰でもできる仕事ではなく、この分野ならば負けないという専門分野を持たなくてはいけない、という意識の現れでしょう。
スペシャリスト志向は間違ったものではなく、むしろうまくいけば自分の稀少価値を高めることができるでしょう。しかし、弁護士として生計を立てるのであれば、この稀少価値が「お客さんから弁護士報酬を支払ってもらう価値のあるものか」を考えなくてはいけません。

一般にスペシャリスト弁護士になるという選択は、2つのリスクが存在します。1つは専攻した分野がお金にならない分野だった場合です。たとえば、エンターテイメント法を専門とする弁護士になりたいと思っても、所属事務所にその手の案件が来なくては役には立ちません。
もう1つは、先行した分野での専門家枠の競争に敗れるというリスクです。たとえば、独禁法が大規模な改正をむかえるとき、企業は早急に対処法を見直さなくてはいけません。このような法改正の施行時期を捉えれば、確法分野について、それぞれ複数の弁護士で対応しなくてはならないだけの仕事が与えられるでしょう。しかし、実務の安定した状態ではそれほどに大勢の弁護士を必要とはしません。この時に、1つの分野において1番詳しいのであれば、優先的に仕事が回されるでしょうが、すでにスペシャリストがいる分野で後発組となってしまってはあまりの仕事しか回してもらえないでしょう。
1番詳しい弁護士として仕事をすることで、さらに実績を積み、その地位を確保することはできるでしょうが、1番詳しい弁護士以上に詳しいと認めてもらうためのチャンスが訪れるかもわかりません。

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