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弁護士の仕事と対価

弁護士を目指す動機の1つに「困っている人を助けてあげられる仕事がしたい」というのがあります。その仕事を担うことに満足感を得る、自己実現を感じる、それを求めるのはとても素晴らしいことでしょう。
では、「職業としての弁護士」という視点から見た時、この高尚な動機を実現するためにはどういう方法があるのでしょうか。1つは、自分の余暇を使って対価を得ることを良くせずに「困っている人」から仕事を無償で引き受ける方法、もう1つ、依頼者から感謝されつつもきちんと仕事の対価を徴収し、その対価によって生計を成り立てていく方法です。
この2つは依頼者の探し方も異なれば、弁護士としての時間の使い方にも違いが生じます。

まず、対価を求めずボランティアとして仕事を引き受ける場合、これを実現するには「依頼者からの報酬に頼ることなく、自己と家族の生計を維持していくだけの資産を保有しているか、別の収入減を持つこと」が前提条件として求められます。すでに生活に困らないだけの資産を持ってはじめて、ボランティアとしての依頼を受ける事ができるのです。
現実には、依頼者からの報酬なしに生計を立てられる弁護士はまれでしょう。通常であれば、困っている人から依頼を受け、どのように対価を徴収するか、というきわめて現実的な問題を抱えることになります。

弁護士の仕事から見れば「法律面で困っている人」は2つのタイプに分けられます。1つは「他社から不当な請求をされる」ことにより被害者となる被告タイプ、もう1つは「他社に正当な権利を持っているにもかかわらず、これを受け入れてもらえない」という原告タイプです。もちろん、両者の性質を持っている場合もあります。たとえば、悪徳消費者金融業者から請求を受けているという事件では、「過剰な請求を受けている」という面では被告タイプですが、すでに法律上の制限を越えた利息を支払っている場合には「長か支払い分の金額の返還請求を求める」という原告タイプでもあるのです。
いかに対価を徴収するか、という問題を考えるときのポイントは「依頼人が『原告タイプ』の性質をどこまで持っていてくれるか」にかかっています。

被告タイプの困っている人の場合、不当な請求から守るために弁護士として仕事をすると、そこには人件費が発生します。ところが、被告タイプの依頼人は「不当な請求から守ってもらった」という結果から利益を得てはいません。これでは、被告タイプは弁護士報酬として本来であれば不要なはずの出費をすることになってしまいます。
たしかに被告タイプは困っている人であり、守ってあげるべき対象になります。ところが、ここで弁護士として被告タイプを助けてあげることで、被告タイプの心理としては感謝の気持ちと同時に「弁護士報酬がもったいない」と思うこともあるでしょう。それでは当初の目標である「困っている人を助けたい」は達成できないのではないでしょうか。

被告タイプに対し、原告タイプの困っている糸からの相談は、弁護士報酬を受け取るチャンスが広がります。それはなぜかというと、依頼者の請求が成功すれば、その分け前として報酬を受け取ることができるからです。原告タイプの依頼者は、弁護士に依頼することで何らかの利益を結果として受け取ることになります。本来であれば受け取れるはずのない利益を弁護士のおかげで受け取ることができるのであれば、その中から報酬を受け取ることも難しくないでしょう。

このような場合に限り、「困っている人を助ける」という目標を達成し、なおかつ報酬を受け取ることができるのです。つまり、それだけこの目標はハードルが高い、といえるでしょう。

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