従業員代表監査役

コーポレートーガバナンスに関する施策の中でも、多くの議論を呼んでいるポイントは、監査役会(委員会設置会社では監査委員会)への従業員代表の選任義務付けです。

なぜ議論が巻き起こっているかと言うと、株主利益が損なわれる可能性があると考えられているからです。取締役の選解任権を有する「監査役会」のメンバーの半数を
従業員代表としているドイツの76年共同決定法の影響があり、従業員の利益最大化を図る可能性があるのではと言われています。

しかし、監査役会への従業員代表の選任義務付けを設置した方がよいと主張している日本労働組合総連合会の見解を見ても、経営監視機能のみを担う監査役会に
従業員代表からの登用を義務付けした方が良いのではないかという、提言をしているだけです。ドイツ型の「共同決定」の仕組みの導入までが意図されてはいません。
従業員代表が、単独での権限行使が可能な独任制の下で、法的に強い調査権能を有する監査役に登用されるとなると、社内の現場からの情報の吸い上げや、不祥事の探索、
その予防といった面で、大きな役割を果たす可能性があります。様々な観点はありますが、偽装請負や未払い残業手当、名ばかり管理職の問題など、労働法関連の不祥事が
多発している近年の状況を考えると、世の中の風潮としても支持される施策であると思われます。

しかし、会社法制部会での議論を反映して、労働法に関するコンプライアンスの強化のためには、内部通報制度の強化、及びその通報制度の運用状況報告に関する開示を
優先した方が良いのではないかという方向性が示されました。ただ、会社法制改正の中間試案では、従業員代表監査役の選任義務付けは、引き続き検討項目とされました。

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