利益回収の必要性
日本本社から在中国子会社へのノウハウ等提供の対価の回収が必要。
回収しない場合、日本本社から在中国子会社への利益移転とみなされる。
主な回収方法
外貨送金規制 |
移転価格税制 |
その他規制 |
税金 |
|
配当 |
△指摘可能性有 |
源泉所得税10% |
||
ロイヤリティー |
5万USD以上は、税務届出+銀行審査 技術輸入契約登記証が必要 |
△指摘可能性有 |
契約登記制度 |
|
サービスフィー |
5万USD以上は、税務届出+銀行審査 |
△指摘可能性有 |
||
コミッション |
5万USD以上は、税務届出+銀行審査 |
●確実に指摘される |
||
商流介入 |
×問題無し |
△指摘可能性有 |
回収方法一覧
資本的回収 |
利益的回収 |
清算による残余財産分配 有償減資 持分等の譲渡 |
配当 取引値差 技術指導、経営管理指導、コンサルティング等に伴う報酬、手数料(ロイヤリティー、サービスフィー 経費負担 |
配当金による回収は、配当決議が必要なため困難。
むしろ、貿易利益や手数料、報酬利益による利益回収方法が一般的。
30号通達「サービス貿易外貨管理法規の印刷・発布に関する通知」(2013年9月1日実施)の交付により、貿易外海外送金規制が大幅に緩和された。これは、中国内源泉所得を海外送金する際、5万USD超の場合のみ税務届出が必要であり、5万USD以下は銀行窓口で送金根拠の証拠資料を提示するだけでよい。
中国外商投資企業の中国国外への外貨支払権利能力
中国外商投資企業においては、批准された経営範囲内において必要とされる原材料、燃料等の物資について、公平、合理の原則に従い、国内市場及び国際市場より購入することができるものとされている1。
従って、外商投資企業において自らの経営範囲に関連を有しない費用について、または不合理な価格の費用については、中国国外への送金を行うことは認められていない。また、中国内資企業についても、同様に自らの経営範囲と関連しない行為に伴う外貨送金は認められていないものといえる2。
1 中華人民共和国外資企業法第15 条、中華人民共和国合資経営企業法第10 条、中華人民共和国合作経営企業法第19 条
2 中華人民共和国対外貿易法第8 条
合弁会社が配当金を日本へ送金する
USD50,000以上の場合、
要税務届出
税務届出申請書
会社定款
配当に関する株主会決議書または理事会決議書
親会社の税務登記証明の写し
クレーム対処費用を中国子会社負担として日本本社へ送金する
2つの商流で
Case1: 中国子会社⇒日本本社⇒エンドユーザー
貨物貿易に伴う外貨返金名目で送金する。
輸出代金受取日から180日以内の送金であれば、直接外貨指定銀行で申請できる。
180日を越えた場合、外貨管理局へ申請する。申請書類は以下の通り(貨物貿易外貨管理実施細則第16条)
収入申告書類(輸出通関書類や外貨受取申告書など、中国子会社が代金を受領した際の申告証明)
輸出契約書
書面申請(外貨返金の原因および返金と同時に商品の返品が行われるかに関する説明)
その他の証明資料(当局の要求に応じて)
Case2: 中国子会社⇒エンドユーザーの商流で、中国子会社からの委託を受けて日本本社が対応する
日本本社と中国子会社はクレーム処理に関する業務委託契約を締結する。
営業税が課せられ、中国子会社側で源泉徴収される。なお、国外サービス提供のため企業所得税は課せられない。
外貨指定銀行へ以下の資料を提出する。
業務委託契約、本社発行のインボイス(支払請求書)、税務届出書
税務届出については、1件当たり送金額がUSD50,000を超える場合、以下の書類を準備する。
・記入済「届出書」
・契約書、協議書、取引証明のコピーおよび中国語の訳文
・税務機関が求める書類