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日米新租税条約による三原則

(1)恒久的施設の定義
租税条約において、恒久的施設の概念は重要です。そこで、日本の租税条約のモデルになっているのは主にOECDのものではありますが、PEについては日米新租税条約も基本的には同じなので、最新の条約である日米新租税条約によって、恒久的施設とは何かを検討してみます。

恒久的施設とは、事業を行う一定の場所であり、企業がその事業の全部または一部を行っている場所を指します。
具体的には、事業の管理の場所、支店、事務所、工場、作業場、鉱山・石油または天然ガスなど天然資源を採取する場所、を含みます。また、建設工事現場などは12ヶ月を越える期間存続する場合に恒久的施設と言う扱いになります。
逆に、商品を保管、展示、引き渡しのためのみに使用する施設などは補助的な性格を持つ施設と捉えられ、恒久的施設とはみなされません。

(2)恒久的施設課税と帰属主義の原則
課税の対象となるのは、恒久的施設に帰属する所得に限定します。帰属主義の原則は以下のように規定されています。

“第7条(事業所得)
1 一方の締約国の企業の利益に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、その企業の利得のうち当該恒久的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。“

(3)独立起業の原則
課税の対象となる所得の算定法市域は、独立起業の原則による事が規定されます。

“第7条(事業所得)
2 3の規定に従う事を条件として、一方の締約国の企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、当該恒久的施設が、同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行う個別のかつ分離した企業であって、当該恒久的施設を有する企業と全く独立の立場で取引を行うものであるとしたならば当該恒久的施設が取得したとみられる利益が、各締約国において当該恒久的施設に帰せられるものとする。“

(4)日本企業N社のニューヨーク支店のステイタス
以上のことから、日米新租税条約によって、N社のニューヨーク支店は恒久的施設に該当し、N社のニューヨーク支店に帰属する所得については、米国側にも課税権がある事が理解できます。

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