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海外における会社設立と法務

企業が海外で会社の設立を行う場合、様々な動機がありますが、通常は製品の販売(輸出)を通じて、その国の市場での大量な販売に対応する体制を整備する事、高関税の設定、輸入規制策の発動当該国への輸出の障害が出てきたこと、現地の有力なパートナーとの連携が製品の販売・製造の上でメリットがあると判断される事などがあります。
このような同期の違いは、設立の形態に変化をもたらします。ここではまず、支店・駐在員事務所などの出先設置の場合、100%出資による子会社設立の場合、現地パートナーとの合弁会社設立の場合、既存の現地会社に資本参加する場合に分けてそれらの法律上の問題点を検討していきましょう。

(1) 出先の設置などの進出方式
支店、駐在員事務所を設立する方式があります。このタイプは、しばらく対象国の市場を観察した上で本格的な進出を検討するための過渡的な進出形態と考えられます。
支店設立について、留意すべきポイントとしては投資対象国の政府からの許認可条件、投資優遇条件の取得などの対政府当局との折衝があげられます。一方で、駐在員事務所の場合、注意すべき点としては子会社・視点と位置づけが異なる事です。各国の法制により若干の違いはありますが、駐在員事務所は、Doing Businessの資格を持っておらず、原則として本社との連絡、渉外業務を行っているにすぎないと見なされます。
また、事務所設立の認可もその趣旨に従い、原則として営業行為を行う事を許してはいません。その他、広い意味では、販売代理店、技術援助、製造委託なども事業進出ではありますが、投資を伴わないため事業投資とは言えません。

(2)100%の出資比率の子会社
利害の調整を必要とするパートナーが存在しないため、当事者間の設立契約の作成は必要ありません。設立上の問題点は、(1)同様に、投資対象国の政府からの許認可条件、投資優遇条件の取得などの対政府当局との折衝に関連する事項が中心となります。

(3) 現地パートナーとの合弁事業
相手方パートナーとの会社設立の条件をめぐる交渉が法律上の重要な問題点となります。つまり、なぜ現地側と組むのか、と言う点です。
企業が事業戦略を貫こうとすれば、100%または圧倒的過半数の出資による進出を選ぶはずです。
考えられるケースとしては、
① 100%または絶対的な過半数の出資が政府により認められない
② 現地の商慣行などの事情からパートナーと組む方が有利と思われる場合
③ 投資リスクを分散する趣旨でパートナーと組む場合
④ ぜひ進出してほしいと言う現地側からの強い要請がある場合
です。

⑤を除けば、進出企業側のバーゲニング・パワーは弱いと言えるでしょう。したがって、このような前提に立つ交渉だけに相手方との交渉は厳しいものとなります。しかしお互いに組んで事業を行う以上、前向きでなければなりません。合弁会社の契約交渉は難しい側面がある事を理解しておくべきでしょう。

主要な論点としては、以下の通りです。
・設立のために必要な事業調査
①事業当事者間の予備的合意(L/I)の策定
②調査対象事項の決定
③設立スケジュールの策定
④機密保持の取決め
⑤出資総額・比率・携帯の策定
⑥借り入れ(他人資本)内容の確定
⑦弁護士、会計士など専門家の雇用

また、合弁会社が折半出資(両社が50%の持ち分出資する形態)の場合、合弁会社の運営について両者の意見が衝突するときがあります。このような場合、通常の合弁会社設立契約には、いわゆるDeadlock条項が設けられます。一方の当事者に撤退権を与えるか否か、与えるとした場合の条件をどうするかは重要な交渉事項となります。

(4)既存の現地企業に資本参加する場合
進出企業にとって、一見最も手っ取り早い方法かと思われます。この場合、いくつかのポイントを考えて見る必要があります。
まず、資本参加のプロセスは、①当事者間による基本合意、②デュー・ディリジェンス(Due Diligence)の実行、③価格査定、④資本参加契約の締結、という形を取ります。特にDue Diligenceは重要な手続きであり、資本参加したい企業のすべての経営資源を調査し、その収益性を査定します。また、財務資料に現れない隠れたリスク(例えば、訴訟やクレーム)を洗い出す手続きでもあります。
資本参加のメリットとしては、すでに事業を行っている企業が対象であり、評価がしやすいこと、最初からの立ち上げコストおよび時間がセーブ出来る事などがあげられます。
一方、デメリットとしてはたとえ株式の過半数を握って対象企業の経営を支配していても事業の根本の変革、特に従業員の入れ替えなどについては強い抵抗を覚悟しなければなりません。すなわち、既存企業の“負”の部分も受け継がざるを得ないのです。
要は、即効性のある進出形態ですが、自己の意図で事業を支配するうえで克服すべき問題も多いと言う事です。既存企業の株式取得にあたっては、既存株主からの株式の譲受けの方式と既存会社の増資新株の取得による資本参加があります。

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