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相対的免除と絶対的免除主義

国家やその機関との企業の国際取引契約における法的不確実性を解消するため、現在では世界の大半の国が、国の行為を公法的行為と司法的行為に区分し、国際取引契約のような私法的行為については、裁判管轄権免除を与えず、公法的行為についてのみ裁判管轄権免除を与えると言う相対的免除(restrictive doctrine of immunity)主義御採用しています。また、国連第59回総会で採択された「国家及び国家財産の裁判権免除に関する国際連合条約」も相対的免除・制限的免除を採用するに至りました。(これに対して、外国政府及びその期間を被告とする訴訟においては、訴えの原因如何を問わず、裁判管轄権を否定してしまうのが、絶対的免除(absolute doctrine of immunity)主義です。)
相対的免除を規定する法律の例としては、米国の「1976年外国主義免除法」1602条などがあります。

日本でも、平成21年に制限的免除を定めた「外国などに対する我が国の民事裁判件に関する法律」が成立し、平成22年4月1日より施行されたのですが、同法の成立以前の判例では、次の要旨にあるように最高裁平成18年7月21日(平成15年(受)1231号事件)で制限的免除を容認していました。

要旨:
1. 外国国家は、主権的行為以外の司法的ないし常務管理的な行為については、我が国による民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害する恐れがあるなど特段の事情が無い限り、わが国の民事裁判権に服することを免除されない。
2. 外国国家は、私人との間の書面による契約に含まれた明文の規定により当該契約から生じた紛争について我が国の民事裁判権に服することを約した場合には、原則として、当該紛争について我が国の民事裁判権から免除されない。
3. 外国国家の行為が、その性質上、私人でも行う事が可能な商業取引である場合には、その行為は、目的のいかんにかかわらず、特段の事情が無い限り我が国の民事裁判権から免除されない私法的ないし業務管理的な行為に当たる。

外国政府又その機関との間で契約を締結する場合、少なくとも次の点を注意すべきでしょう。
・相対的免除の国か、それとも絶対的免除の国かを調査する。
・主権免除の原則を放棄する旨を契約条項に取り込む。
・契約上の取引が商業活動、省取引であることを契約上明確にする。
・契約上において紛争解決手段として仲裁を選択する。それによって、黙示的に管轄免除の放棄をさせる。

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