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製造物責任の6つのリーガルリスクチェック

(1)製造物責任法と製造物責任
「製造物責任法」はたった6ヶ条から構成されている短い法律なのですが、企業の欠陥商品をめぐる特別の損害賠償責任の基本原則を定めた重要な立法です。日本は欧米先進国より大幅に遅れて1995年7月からから施行されています。
「製造別責任(P・L)とは、製造物の欠陥によってその製品の使用者または第三者が清明・身体、または財産に損害を被った場合に、製造業者や販売に関与した者が負う損害賠償責任です。

(2)責任が及ぶ範囲
製造物責任を負うのは、次の欠陥製品の製造業者などです。

・製造業者
“業として”商品の製造・加工をした者です。
自然人または法人が事業として継続かつ反復して当該製造物を製造・加工する事を指しています。
・輸入業者
欠陥製品が外国製品である場合には外国の製造業者の責任となります。しかし、そのような危険商品を国内に持ち込んだ者であることや外国の製造物責任を追及することが事実上困難である事を考慮し、輸入業者に責任を負わせることとします。
・表示製造業者
破人が製造・加工・輸入した欠陥製造物に自ら製造業として指名・商号・商標を表示した者を指します。
たとえば、「製造元○○」「輸入元××」などの肩書で事故の氏名を表示した者や、当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名などを表示した者、肩書なしに製品に自己の名称・商号のみを表示した者です。
・実質的な製造業者
実際は他人の製造物ですが、製造・加工・輸入・販売の形態その他の事情から見て、その製造物の実質的な製造業者と社会的に認める事ができる氏名などを表示した者のことです。
たとえば、PBの表示、「○○屋のお酒」のように自社で販売していることを表すケースが挙げられます。

(3)責任が及ぶ製造物の範囲
「製造物」とは、製造または加工された動産です。製造物責任はその対象の忠臣は大量生産される工業製品に置かれています。
次にあげる点が問題となるポイントです。

・「動産」であること
動産とは、不動産以外のすべての有体物を言います。したがって、欠陥宅地や欠陥住宅などの不動産は対象としません。
・「有体物」としての動産であること
電気、音響、光線、熱、物の運動などの「無体物」は対象としません。ソフトウェアは対象外となりますが、ソフトウェアを組み込まれた製造物については対象とされる場合もあります。
・「製造」または「加工」された動産であること
野菜・きのこ・魚など一次産品である未加工農林水産物は対象外です。農林水産物を加工したものは製造物となります。血液製剤・生ワクチンは、血液やウィルスなどに加工が施された製造物であり責任の対象となります。
修理・修繕・整備は、原則として製造・加工にはあたりません。

(4)「欠陥」の分類・欠陥判断の基準
「欠陥」とは、製造物が通常有すべき安全性を欠くことです。欠陥によって損害が発生した場合に損害賠償責任が生じます。つぎの点が問題になります。

・欠陥製品の分類
欠陥には「設計上の欠陥」、「製造上の欠陥」および「指示・警告上の欠陥」があります。
・欠陥判断の基準
「製造物の特性」を考慮したか「通常予見される使用形態」、「製造物を引き渡した時期」などの諸事情を考慮します。
・責任が免れる場合
製造物に欠陥があっても、以下のケースでは免責されます。
「開発危険の抗弁」で、当該製造物をその製造業者などが引き渡したときにおいて科学または技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識できなかったこと。
「部品・原材料製品造業者の抗弁」で、当該製造物がほかの製造物の部品又は原材料として使用された場合、その欠陥が当該他の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつその欠陥が生じた事につき過失がない場合。

(5)期間制限

・時効期間
損害賠償請求権は、被害者が損害および賠償義務者を知った時から三年、当該製造物を引き渡したときから10年経過することによって時効消滅します。また、この事項の期間は体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害または一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算されます。
・民法の適用
製造業者などの損害賠償責任については「過失相殺」や「金銭賠償の原則」などが適用されます。

(6)製造物責任に対応する三原則

製造物責任についての企業の対応として、次の三原則を考える事ができます。これを推進するのは会社法規部の役割でしょう。

・欠陥製品を作らない
欠陥製品を作らないためには①設計上の対策、②製造上の対策、③警告・表示上の対策、があります。そのためには、企業は全社的に製品の企画・開発・設計・製造・広告・販売・警告(表示)・事故処理にいたる“製造から流通まで”の全ステージにわたってリーガルリスク・マネジメントの確立が要請されます。

・警告・表示を適切に行う事
この「警告」のラベルについても法規部の事前チェックを入れる事を推奨します。

・PL保険を完全に活用する事
保険をかければ損害賠償のすべてがカバーされると言うわけではありません。約款をよく検討し、①対象となる製品の種類、②保険期間、③対象となる保険事故、④補償される損害の範囲、⑤補償の対象とならない場合(免責事由)などを正確にチェックする必要があります。

この三原則のうち、第一の原則が最も基本的なもので、残りの二つは派生的な原則でしょう。

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