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親子上場解消の注意点

親子上場を解消する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。大きく分けると二つの方法があります。一つは持株比率を低下させ、親子関係を解消する方法。2つ目は完全子会社化してしまう方法となります。

一つ目の方法に関しては、有価証券報告書提出会社が発行する株式の譲渡に該当するため、特定の第三者に対して株式を売却する場合には、TOBルールが適用されます。その為、売却を希望する株式の数量次第ではありますが、非上場子会社と比べ、売却は容易ではありません。
また、TOBルールを受けない範囲で相対取引による売却を行う事も考えられます。2010年4月1日に施行された金商法の改正によると、主要株主が所有する上場会社株式の特定の者に対する処分は、「私売出し」の要件を満たさず、原則として、「売出し」に該当することとなりました。この結果、相対取引についても、対象会社における目論見書の作成および有価証券通知書の提出ならびに主要株主における目論見書の交付が必要になった点も、売却に際しては注意が必要となります。

二つ目の完全子会社化については、やり方として二つの手法に分けられます。
①株式交換を利用し、上場子会社を完全子会社にする方法です。例えば、前述したキリンによるメルシャンの株式交換による完全子会社化の事例等が代表的な事例です。
②TOBを先行させ、その後、全部取得条項付種類株式を活用するなどして、子会社少数株主を、現金を対価として締め出す方法である。スクィーズ・アウトするとも言われます。前述したパナソニックによる三洋電機の完全子会社化の事例等がこれに該当します。

①の株式交換スキームによる場合、親会社としては上場子会社の株主に対して自己の株式を交付する形になります。キャッシュ・アウトがないというメリットがあります。対象となる上場子会社に多数の米国在住の株主が存在する場合には、米国証券取引委員会(SEC)に対してフォームF-4という日本の有価証券届出書に相当する届出書の提出が必要となる場合があります。作成に多くの時間、労力、コストがかかる可能性があります。
注意点としては、債権者の異議手続をはじめとする会社法所定の種々の手続をしなければなりません。また、買取請求権を行使した反対株主との間で、株式交換比率の算定に関して交渉が生じることも考えられます。最近、組織再編をめぐる買取請求の裁判が多発していることを考慮すると、こういったリスクは無視できません。

②のTOBを先行させるスキームによる場合は、多額の現金が必要になりますが、親会社の株主構成に変動がなく、SECのフォームF-4の提出が必要となるリスクも減らすことができるというメリットがあります。②のスキームでは、金商法の定めるTOBルールを遵守しる必要があり、少数株主に対して株価を超える一定額のプレミアムを分配することが必須となっています。さらに、親会社による子会社少数株主のスクィーズ・アウトは、経済産業省「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」によると、潜在的な利益相反状態が存在する事例として指摘されており、実務上は慎重な手続が必要となります。例えば、最近では、完全子会社化の取引を進めるに当たり、子会社の取締役会の諮問機関として、外部有識者等から成る独立委員会を設置する事例が増えています。

親子上場をめぐる環境は厳しくなってきており、今後親子上場解消に向けた動きが進んでいくことが予想されるが、こういった動きに伴うものとしては、手続的な煩雑さがあります。一方で親子上場には、資金調達や与信等のメリットがあることも事実なので、親子上場関係における親会社においては、親子上場を解消するべきか、解消する場合のタイミングや方法について慎重に検討することが必要となります。

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