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貿易取引での課税問題

ここで言う貿易取引とは、標準的製品の売買契約のみならず、複合的契約であるプラントも含めて貿易取引とします。

米国××州電力会社向けの日本企業の発電所建設工事を仮設事例として考えてみましょう。
その建設のための遠地区工事現場が1年を超えて継続して存在していれば、租税条約上の恒久的施設となり(5条3項)、所得の源泉が米国にあることとなり、米国より課税されます。
日本企業からすると、妥当性を欠くように思われるかもしれませんが、建設工事現場(PE)を拠点として、日本から発電機器を持ち込み、現地で組み立て、据付を行い、調整試験をして引き渡したのであるから、そこに所得の源泉があると言えます。いわば、PEがバーチャルな米国の工場と考えれば、理解しやすいでしょう。
したがって、契約金額全額が米国に帰属する所得とされ、米国でも納税する義務を負うことになります。

では、同じ仮設事例で仮に発電用の機器のみをFOB条件やCIF条件で製品を輸出したときは如何なるでしょうか。輸出した日本企業が米国内に支店などのPEを持たないならば、所得の源泉はもっぱら日本国にあることとなり、米国での課税問題は発生しません。
租税条約の課税の原則のうち、①恒久的施設がなければ課税しない、②課税の対象となる所得の範囲はその恒久的施設に帰属するものに限定する、と言う原則が適用されるのです。

日本のある企業が外国に発電所建設のためのタービンや発電機をFOBやCIFで輸入しても、その国に支店などのPEがなければ、そのような機器の販売から生ずる所得に対して輸入国で課税される事はありません。それは、所得の源泉が日本国にあるからです。
ところが、同じ発電粋を輸入するだけではなく、さらに現地で据付工事を行うと、日本新租税条約5条3項に“建設工事現場、建設若しくは据付けの工事又は天然資源の探査のために使用される設備、掘削機器若しくは掘削船については、これらの工事現場、工事又は探査が12箇月を越える期間存続する場合には、恒久的施設を構成するものとする。」とあったように工事現場がPEとなり、いわゆるPEタックスによる納税義務を負うこととなります。

そこで、海外への大型プラントの輸入契約で建設国においての当該建設工事がPEになるか否か、またそのPEへの課税及びその課税範囲のリスクを考慮して契約のformationをどのようにすべきかを検討する必要があります。もちろん、現地国に特定目的の会社を設立してその会社が契約当事者になり、納税者とする事も考えられますが、ここではその方式以外での対応を考えてみましょう。

発電機器やプロセスプラント契約は、その供給の構成要素からしばしばEPC Contract(Engineering, Procurement, &Construction Contract)と言われます。EPC Contractを履行した場合、建設工事現場がPEとなり、その結果現地で課税される事を前提に、どのようにして課税のリスクを回避しまたはリスクを縮小しうるかの観点からEPC Contractの請負者のFormationを考えてみましょう。

(1)一括受注方式
EPCのContractorとして一括受注するケースでは、全契約金額から生ずる所得がプラント建設国の課税所得となります。この場合は、課税される事を前提として、税務申告のための社内外の体制をどのように構築するかを検討することとなります。

(2)契約のスプリット
契約をEPの部分とCの部分の二本立てとする方式です。
日本の契約により、Cの部分への課税は免れませんが、EとPの部分の所得源泉はoff-shore(屋外)とされて課税所得外となる可能性があります。ただし、これは、発注者がこのような契約系宅に応じるか否かの問題があるほか、税務当局より租税回避策と判断される可能性があります。

(3)下請受注方式
現地法人の下請け押してEPCすべてを受注します。この場合、現地法人では発注者との契約金額全体から生じる所得が課税所得となります。現地法人のみが納税義務者であれば、建設国の現地企業は、下請けとして起用した海外企業との契約金額を費用として収益計算をすることになり、外国企業は原理税務問題に関与しなくても良いことになります。ただし、国によっては下請会社にも所得源泉があるとして、税務申告が要求される可能性もあります。

(4)共同受注方式
いわゆるコンソーシアムを形成して日本企業がEとPの部分を受注し、現地企業がCの部分を受注する方式であれば、日本企業のEとPについて現地国の課税権は及びません。

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