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貿易(輸出)管理

1987年の東芝機械事件は、当時大きな影響を社会や産業界に与えました。COCOM規制(対共産圏輸出統制委員会)による政府承認(輸出許可)を不正に取得し、COCOM禁輸品・技術を当時のソ連に輸出したもので、親会社である東芝への米国政府による制裁問題へと発展しました。
その後、1989年のベルリンの壁崩壊に始まる冷戦の終焉はこれらの輸出規制を過去のものとしましたが、地域紛争やテロにつながる“テロ組織”やテロ組織と関係を持つと言われる“懸念国家”との不正な取引は新たな世界の脅威を作り出しています。

かつてのCOCOMメンバーを中心とする国々による武器及びその転用の恐れがある製品・物資について不拡散を目的とする国際協定・ワッセナー協約が結ばれました。
日本においても、これらの国際協定を遵守し、国際的な平和的秩序に資することを主眼として、輸出管理が行われています。つまり、武器を含む輸出管理は外国為替及び外国貿易法及びそれを保管する輸出貿易管理令が主要な法令です。しかし、昨今のテロ組織の動きに対しては、より緊張かつ緊密な国際協力を必要としています。

このような事態に対応するために、日本政府も“Catch All規制”を導入しました。その目的は、すべて製品・物資を対象に、輸出者に“輸出される製品・物質が大量破壊兵器に利用されないことを確認する”義務を課す、というものです。
この規制に基づいて、輸出を行う企業にとって、注意すべき点を説明していきましょう。

(1)輸出許可の取得
貿易管理上、政府(経済産業省)の許可を取得する必要がある輸出は、規制対象品目がミサイル、原子力などの15分野にリスト化されています。リストされている対象品目は年に数回変更されるとなっており、適時フォローしておく必要があります。この規制は品目によるもので、仕向け地を問わず全世界が対象となるものです。
しかし、近年、大量破壊兵器の開発に使用される恐れがある製品や物質が紛争国やいわゆるテロ協力国で発見されています。これを受けて、日本政府も欧米諸国と同様、包括的な規制処置(Catch All規制)を2002年に導入しました。これは1996年の補完的輸出規制を整備・拡充したものです。
具体的には、経済産業のガイドラインによって決められますが、大量破壊兵器に使用されるおそれがあることを知っていた場合、または同省の判断によってその恐れがあると通知した場合となります。

(2)企業はどう取り組むべきか
輸出管理は、原則として企業の自己申告に基づいています。しかしこれは、勝手に判断して輸出を行っていいと言う解釈にはなりません。企業によっては、輸出管理の専門部署を置いて、自主的な輸出管理規定を設けている企業も多くなっています。
全ての企業が専門的な取り組み体制を設ける事は難しいでしょうが、最低限の対策として以下の点を十分配慮すべきでしょう。

①上記(1)のリスト対象製品を定期的にチェックする事
②担当の営業部門だけの判断ではなく、管理部門、経営責任者との十分な協議システムを作る事
③専門部署・スタッフの設置は難しくても、社員に輸出管理セミナーに参加させる等、必要な人材の育成に努める事
④紛争国、テロ協力の疑いのある国々に最終的に納入される可能性が少しでもある場合には、最終輸出国の確認を必ず取るとともに、担当官庁に事前相談をする事
⑤経営トップがこの問題の重要性を理解する事

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