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通商問題の基礎 スーパー301条による調査

通商問題はアンチ・ダンピング調査への対応が主要な業務となります。しかしながら、日本をめぐる近年の通商分野において、他の様々な通商に絡む問題が発生しています。その原因は、日本の産業構造の変化に伴う通商問題の変容にあります。
アンチ・ダンピング手続きの発動国である米国、EUにとって、近年のBRIC’sの輸出増大がそのターゲットとなっています。一方、日本にとっては、アンチ・ダンピング以外の通商問題への対応が一層重要性を帯びてきています。

『スーパー301条による調査』

米国は近年、アジア諸国を中心に不公平な貿易慣行を行っていると判断した国々に対し、それらの慣行を止めさせる目的で“報復処置”としての関税を賦課しています。これは1974年米国通商法310条に基づき調査権限を拡大強化した1988年包括通商・競争力法(通称“スーパー301条”)による権利の行使ですが、不公平な慣行とされる事項は様々です。
主要なものとしては、対象国政府の輸出助成策、輸入に対する阻害処置、輸入国での特殊な商慣行などがあります。これらの処理は究極的には米国製品の輸出拡大を意図しています。輸出助成策や輸入阻害処置の取り扱いは政府間の交渉事項となり、個別の企業で処理できる問題ではありません。しかし、商慣行や慣習の問題は個別企業にも影響を及ぼす事項であり、また結果として米国製品の市場でのアクセスをどう達成していくのかと言う事にも県警してくることになります。したがって、個別の企業法務の対応としては、当該企業が関わる商圏においてこれらが何ら輸入を阻害する要因となっていないとの論理の構築やその裏付けが重要な業務となります。

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