アンチ・ダンピングや相殺関税が問題とした“価格”ではなく、輸入される数量の急激な増大がセーフ・ガードの調査対象となります。相殺関税と同様、GATT19条を根拠とする国際的にも認められた措置です。
個別の企業との関係では、例えば日本は米国またはEUからセーフ・ガードを発動させる恐れが起きた時、両者は通常、関税の引き上げ、数量制限、輸出自主規制などの処置を政府レベルで検討せざるを得ません。もちろん、特定国によるセーフ・ガードの発動がGATT条約に照らし適切なものか議論のある場合も多くなっています。
いずれにせよ、個別企業としては関税の引き上げに対してはコスト競争力の強化が必要となりますが、両国政府が二国間での“政治的解決策”として輸出自主規制や数量制限的な何らかの合意に向かう場合、その影響を良く見極める必要があると言えるでしょう。