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通商問題の基礎 知的財産権が争点となる通商摩擦

製品の輸入が常に通商問題の忠臣となってきましたが、近年、特許やノウハウを中心とするトレード・シークレットの侵害に関する通商摩擦が問題となっています。
米国は1980年代、不況と国内産業(特に製造業)の衰退に悩まされていましたが、製品や製品の製造の基礎を形作る特許・ノウハウの権利強化を目指すプロ・パテント政策を採用し一層の保護を図りました。具体的には、1988年包括通商・競争力法にいくつかの“仕掛け”が盛り込まれました。
その一つが通称・スペシャル301条と呼ばれる条項であり、特許を中心とする知的財産権を適切に保護していない国々に対しては是正を迫り、一定期間内に適切な処置がなされていないと米国が判断した特定国に対して報復措置を取るものです。
第二の法制としては、米国関税法337条の強化です。この条項の改正により、米国の知的財産権を侵害しているとの米国業者の申立てに対して侵害の要件を緩和委して認めやすくし、侵害品の輸入を禁止する措置を取りました。これらの一連の措置が個別企業にどういう栄養を与え、関係者はどう対応するかが企業法務の重要な問題となります。

ポイントとなるのは以下の3点です。
① 米国業者の有する特許などの権利と侵害の有無を十分に検討する事。侵害していないとの検討結果が出れば、訴訟も辞さないとの強い姿勢を取ることが重要である。
② まだ米国で権利化されていない製品・製法などの高度な発明・創作については、積極的に登録申請売る事も重要となる。要はあらかじめ紛争のタネをつぶしておく必要があると言う事である。
③ また、米国業者側との権利侵害紛争が予想されそうなものについては、①での戦略とともに相手方とのライセンス契約の可能性についての検討も必要になる事を理解しておく。

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