(1) FTAとEPA
WTO体制が整備されてきたことと並行して、複数国の間で貿易自由化または様々な経済協力を推進する地域協定が増えています。これらの協定には、FTA(自由貿易協定)、関税同盟(協定)、その他の協力協定が含まれています。FTAはWTOの最恵国待遇の原則に対する例外となるもので、当事者国同士が貿易上の優遇措置を取り合うものです。しかし、当事者以外の国に対して差別的な取扱いにならないのか検討する必要があります。
一方、近年EPA(経済連携協定)と呼ばれる通商協定が締結されています。両者をほとんど同一の協定として扱う報道もありますが、FTAが“物”の輸出入の自由化を進める事を主要な合意内容とするのに対して、EPAは上記のFTAの分野に加え、投資関係や看護師、介護士などの人的サービスを対象とする内容であり、さらに競争(独占禁止問題)、環境などの分野も包含する協定となっている点に特徴があると言えます。
(2) EU、NAFTAなどの地域的通商体制
EU(欧州連合)は、単なる地域貿易協定の枠を大きく超えて、域内単一市場を実現しています。域外地域に対しても共通の通商政策を作用しており、その動きは経済的統合を越えて政治的統合をにらむものともなっています。
一方、NAFTA(北米自由貿易協定)は、米国、カナダおよびメキシコの北米3ヵ国が地域市場の観点から自由貿易地域を構成するもので、考え方はFTAの延長形態と言えます。