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金融検査マニュアル

銀行の貸出金利は、原則として、「調達金利+経費率+リスク率+目標収益率」で設定されます。

このリスク率は、格付けによって決定されます。

よって、高格付企業は低金利、低格付企業は高金利(もしくは貸出不可)となります。

 

金融検査マニュアルに基づく格付

財務内容を中心とした点数制で格付けされている

定性項目(商品競争力・経営者の資質・決算書の信憑性など)も加味されている

銀行の融資方針及び金利はこの格付けでほぼ決まる。

内部格付けは最低年1回行われる(決算期から3ヶ月以内)

 

債務者区分(内部格付け)

分類

債権区分

分類対象

貸付先

債権等の資産

債権

判断対象

返済能力

貸付債権の回収危険性

債務者の財政状況や経営成績等

基準

債務者の財務状況、資金繰り、収益力等

金融機関毎の自己査定

法令上の基準

 

債務者区分(内部格付け)

合理的な中期計画とその実現度合いにより格付けが変化する。

大企業は、中期計画及び単年度計画を策定する。

これは売上や利益等の収支計画だけでなく、予想B/S、予想CFにより資金調達・増資等資本政策も計画に基づき先手を打っているところに特徴がある。

大企業と中小企業は、資金・技術的な面だけでなく、これらの運用面に違いがある。

   

判断基準・具体例

例外(経営計画の実現度合の考慮など)

正常先

業績良好且つ財務内容に特段問題ない債務者(さらに10種類前後に細分化している)

黒字決算だけでなく、一定以上の利益率、自己資本比率が必要

 

要注意先

今後の管理に注意を要する債務者

要管理先とそれ以外に分けられる

・金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者

・元本返済もしくは利息支払が事実条延滞しているなど、履行状況に問題がある債務者

・業況低調ないし不安定な債務者または財務内容に問題がある債務者など

 

毎期限りなくゼロに近い黒字計上している場合、利益率が低く内部留保が積み上がらないため、財務内容脆弱として、延滞がなくても要注意先に分類される可能性がある。

創業赤字の場合

赤字決算だが、それは創業赤字で当初事業計画と大幅な乖離がない場合正常先

事業計画が合理的で、実績が概ね計画どおり、その実現可能性が高いと認められる債務者

黒字化期間が原則5年以内、売上高当および当期利益が計画の7割以上。

もちろん、業種等の特性を踏まえて、事業内容、事業規模、CF、技術力、販売力、成長性などを総合判断する。

 

それ以外の赤字の場合

赤字の原因が固定資産売却損などの一過性のものであり、短期間に黒字化が確実と見込まれる債務者正常先

中小・零細企業で赤字となっている債務者で、返済能力について問題がないと認められる債務者正常先

破綻懸念先

経営破たん状態ではないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破たんに陥る可能性が大きい債務者

 

元本及び利息の最終の回収について重大な懸念がある

現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態にあり、業況が著しく低調、貸出金が延滞状態にあるなど。

金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者であっても、

経営改善計画等が原則5年以内であり、実現可能性が高いこと

計画終了後の債務者区分が正常先となること

全ての取引金融機関において、経営改善計画等に基づく支援が、正式に合意されていること

支援の内容が、金利減免、融資残高維持等にとどまり、債権放棄、現金贈与などの資金提供を伴うものでないこと

要注意先と判断可

 

金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者であっても、

-1経営改善計画等の進捗状況が計画を大幅に下回っており、今後も急激な業績の回復が見込めず、経営改善計画等の見直しが行われていない場合、または、

-2一部の取引金融機関において経営改善計画等に基づく支援に合意が得られない場合で、

今後経営破たんに陥る可能性が確実と認められる債務者

実質破綻先

実質破綻先

法的・形式的な経営破たんの事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められる債務者

財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは返済能力に比して明らかに課題な借入金が残存し実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、

事業好転の見通しが無い状況、天災、事故、経済状態の急変等により多大な損失を被り、再建の見通しが無い状況で、

元本または利息について実質的に長期間延滞(原則6ヶ月以上延滞しており一過性の延滞とは認められない場合)している債務者など

 

破綻先

法的・形式的な経営破たんの事実が発生している(倒産、生産、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等)

 

会社更生法、民事再生法等の更生計画等の認可決定が行われた債務者破綻懸念先と判断可

更生計画等の認可決定後、原則5年以内に正常先となる計画であり、概ね計画通り推移する(実現可能性が高い)と認められる場合要注意先と判断可

 

債務者区分に応じた融資方針の一例

   

正常上位区分

無担保でも積極的に残高を増やす方針

正常中位区分

今後の経営状況や銀行の収益性等を見極めながら残高を増やす方針

正常下位区分

有担保や信用保証協会保証を中心に可能であれば残高を増やす方針

要注意先

有担保や信用保証協会保証を原則に残高維持程度の対応にとどめる方針

要管理先以下

融資対応は不可能

 

 

 

分類

I分類:回収の危険性又は価値毀損の危険性について問題ない資産。

II分類:回収について通常の度合いを超える危険を含む資産。

III分類:回収または価値について重大な懸念が存し、損失額について合理的な推計が困難な資産。

IV分類:(査定基準日において)回収不能又は無価値と判定される資産。

II, III, IV分類を「分類資産」(危険性の高い債権)、I分類を「非分類資産」と呼ぶ。

 

債権区分

正常債権

要管理債権

危険債権

破産更生債権

を不良債権と呼ぶ。

 

実質資産価値のチェック(バランスシートを時価ベースに引きなおす)

 

B/S上の資産は取得原価で計上されていますが、その価値が簿価を下回っているものや、資産価値がないものがあります。実質資産価値を把握するためには、これらを修正する必要があります(キャッシュにあらずんば資産にあらず)。

 

資産価値のないもの(代表例)

含み損

土地や有価証券の含み損、為替差損等による売掛金その他の資産の含み損

不良資産

不良債権(回収不能の売掛金・受取手形・立替金等、また債務超過や経常赤字先への貸付金)や不良在庫

償却資産

 

繰延資産・前払費用等

 

 

不良債権や原価償却不足を見破る方法

確定申告書の別表や勘定科目明細を活用します。

 

勘定科目明細書から分かること

・前年から動きのない売掛先や貸付先は、この1年間で返済がなかったことを意味するため、不良債権と判断する。

・個社別掲載以外の「その他」が多い場合、回収不能売掛金のごまかしが疑われる。

・子会社貸付金があって、当該子会社が債務超過であれば資産価値ゼロとするか、簡易連結決算を行う。

 

定性評価

会社の体質そのものを評価する(表面数字に現れないもの)

 

会社の商品競争力

業界全体の状況

経営管理能力

 

定性評価の目的は「要因把握」です。

例えば業績低迷の企業について、それが一時的要因なのか、構造的要因なのか、

 

決算書の信憑性

過去に原価償却不足で黒字を装った決算をしているか(確定申告書の別表16ですぐに判明します。なお税理士によっては償却不足による黒字化を当然としている人もいますが、会社の信用を失う大変危険な決算です。)

 

経営状況の開示への協力度

銀行が行う決算業績ヒアリングに非協力的であれば、開示できない理由として不良資産や粉飾などが疑われ、マイナス評価になります。

毎月、または四半期毎に残高試算表を提出し業況説明をしていればプラス評価(銀行に出向けばなおよし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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