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EUにおける製品の安全性及び回収についての基礎

(1) GPSDの主要項目のポイント
EUにおける製品の安全性についての基本法制となるGeneral Product Safety Directive(総合安全指令:GPSD)は、各加盟国で採用されている一般消費製品の安全及び回収についての政策を調整する事を目的としています。狂牛病に代表される近年の食品危機を受け、包括的かつ具体的な製品安全法の創設が強く要望されてきました。欧州委員会は、1998年原稿の指令の見直しを開始するとともに、より高いレベルでの安全施策を履行する必要性を強調してきました。GPSDの改正案は、2000年3月、同委員会で採択後、欧州議会の第一回審議を経て2001年2月、閣僚理事会により共通の立場がまとめられました。その後、道議会との調整後、最終法案が同6月に採択され、閣僚理事会および欧州議会の公式採択を経て、2004年1月に施行されました。
GPSDの趣向項目のポイントを検討してみましょう。

・サービスの取り扱い(GPSDの適用範囲)
欧州議会が強く主張した提供されるサービスにもGPSDを適用すべきだとの主張は、条文には含まれていません。提供されるサービスすなわち薬務の安全及びその提供者の責任は、きわめて重要な問題ですが、欧州委員会は別途に検討を進める都市、閣僚理事会もその立場を支持しています。これに関連し、消費製品への適用範囲として、もともとの使用目的が事業用の製品であっても、一般消費者による仕様が合理的に予想されうる製品には、GPSDの適用があるとしています。

・製造者及びDistributorの責務
GPSDは、製造者は消費者に対しリコール(最終手段であるとの条件付)を含む適切処置を取る事を求めています。リコールは今回新しく盛り込まれた考えになります。また、Distributorは、リコールの対象となった製品のソースを明らかにできる文書を補完する義務があります。また、当局への報告義務に関しては、製造者またはDistributorが、提供する消費製品が“general safety requirement”に合致していないと判断した場合、各々が属する国の当局へ通報する義務を負います。

・各加盟国の監視当局の権限強化
GPSDは、過去において指令が十分に履行されてこなかったことの反省に立ち、各国当局の(指定に基づく国内法の履行処置上の)権限強化と違反に対する罰金などの強制策の確保を盛り込むとともに、各国当局の情報交換を進める施策を導入しています。

・各加盟国の権限
上記で述べた監視策に加え、各国当局はGPSDの強制処置として“危険製品”として認定した消費製品を市場または消費者あら直接に即時回収する命令が出来る権限が付与されます。また、当局が消費者に“serious risk”を及ぼし、当局の即座の介入が必要と判断した場合、製造者またはDistributorに相談することなく“必要な行為”を取る事が出来るとしています。

・RAPEXシステム
“serious risk”の場合、当該加盟国は欧州委員会に製造者またはDistributorがとった処置を通報しなければなりません。これを受け、“serious risk”が消費者の健康と安全に及ぶ場合、欧州委員会は速やかに当該情報を各加盟国に通報しなければいけません。これがRAPEXと呼ばれるシステムです。
従来、このriskが一つの加盟国内の問題にとどまるのなら、RAPEXは発動されなかったのですが、今回の条文では、たとえ当該riskが一か国だけの問題であっても、RAPEXの下で通報が必要となります。

・EUの裁量により行使しうる迅速なアクション
従来より、欧州委員会は各加盟国政府に対し“重大かつ差し迫ったrisk”を及ぼす消費製品に対策を取る事を命じる事が出来るのですが、今回の条文はこの対策の中にリコール命令を含ませています。ただし、このリコール命令は、重要なリスクが存在するにもかかわらず、各国が
①十分な対策を取らず、②リコール以外には対策が無く、かつ③EUレベルで取り扱う問題である。
と言う条件を満たす必要があります。

・危険な消費製品の輸出禁止処置
欧州委員会は、一連の条件を付して、危険な消費製品のEU外への輸出を制限する権限を持つことになります。
具体的な条件は、
① 警告文の掲載
② 販売の一時的停止
③ 市場からの回収
等です。

(1) 問題点の主要ポイント
GSPDにおけるいくつかの問題のうち、以下に主要ポイントを列挙します。
① サービスへのGPSDの適用は見送られましたが、サービスに供される消費製品には適用されるとしています。しかし、この解釈は微妙なものとなります。サービスに供される“物品”は、そのもの自体が消費の対象ではありません。したがって、本来、当該物品の安全性を議論する前に、サービスの安全性を問題にすべきではないか、と言う議論があります。
言い換えれば、消費者の安全のために、防ぐべき危険の対象は、当該物品だけではなく、むしろ、サービスではないかと言う問題です。
② 条文は、各国当局および欧州委員会に、条件付けではありますがリコール命令の権限を与えています。しかし、最も重要なポイントにあたる①そういう状況下で発動されるか②どのような形態でリコールを履行するかにつき、その詳細は決められていません。
リコールの製造者に与えるイメージダウンなどのインパクトの大きさを考えるとき、単に消費者保護の観点だけではなく、木目細かい法制の整備が望まれます。

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