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IoTと現代の法制度

IoTと現代の法制度

IoTでは、人間が行っていた判断にAIを用いることが多くなります。現代の法律は、人間の意思活動を中心に組み立てられており、AIを用いた判断は想定されていません。ですので、AIの世界に法律を適用しようとするとたちまち機能不全に陥ります。例えば、医療機器の以上判断にAIを用いることはすでに実用化されていますが、本来検出しなければならないエラーの検出をしなかったことにより、患者が重篤な状態になってしまったという場合、誰が責任を負うのか、という問題が生じます。医者なのか、病院なのか、装置メーカーなのか、装置メーカーが外部に委託したITベンダーなのか、それとも当該装置を認可した厚生労働省なのか、という問題が生じます。自動運転では、交通事故の責任は、運転者か、所有者か、自動車メーカーか、ソフトウェア開発会社か、という問題になります。これらは自動運転のソフトウェア開発に乗り出す際に避けて通れないリスク判断になります。
AIが判断し、行動を起こすことにより、人の死という結果を生じさせるケースがあります。例えば、TrackingPointという銃の自動照準システムがあります。これは、標的の赤い点と照準が交差した時点で自動的にトリガーが引かれます。このシステムを使えば1000m先の標的でも簡単に命中させることができます。では、狙撃手が狙撃をやめようとしたが、AIが動作して射殺してしまった場合、誰が責任を負うのでしょうか。
このようなAIにより生じる問題は、現在の法律では直接的に解決することはできません。しかしながら、現実にAIを製品やサービスに用いるには、この問題を乗り越えなければなりません。

著者
弁護士 石井 善之
東京工業大学卒業後、メーカー、商社、特許事務所などで知財、法務、与信審査、出願業務などを担当。技術やビジネスの理解し、法務や知財の支援を行っている。

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